【アメコミ】スパイダーグウェン
※ネタバレを多分に含みます。
いわゆるマーベルユニバースである、旧称アース616とは違った世界、アース65を舞台にした「スパイダーウーマン」の物語が、この「スパイダーグウェン」です。
多元宇宙のスパイダーマンが総登場した「スパイダーバース」で初お目見えした彼女は、ピーター・パーカーではなく、グウェン・ステイシーが放射能を浴びたクモに噛まれて、超能力を手にしたという設定。ひと昔(ふた昔?)前なら「What If!?」あたりでやってたかもしれない、別の可能性世界のスパイダーマンです。
タイトルこそスパイダーグウェンですが、作中ではスパイダーウーマンと呼ばれています。スパイダーバースでは、複数のスパイダーマンやスパイダーウーマンが登場していたので、差別化のためスパイダーグウェンと呼ばれています。
アース616や映画アメイジング・スパイダーマンでは非業の死を遂げた彼女ですが、この世界では逆にピーターが死亡しています。(で、ベンおじさんが健在だったりする)
この世界のピーターは、スパイダーウーマンのような特別な力に憧れるあまり、コナーズ博士の残した血清を手に入れ、リザードと化してグウェンと戦った挙句に、死亡しています。そして、それがグウェンに暗い影を落としています。…という、アース616とは正反対のような状況です。
ついでに、こちらのグウェンはまだ若く(ティーンエイジャー)、ピーターの一件からまだあまり時間も経っていません。スパイダーマン初期の話を設定を変えて、現代に持ってきたらこうなったという感じで、これがなかなか面白いのです。
見ての通り、スパイダーウーマンのデザインもかなり秀逸。スパイダーマン的な目やクモの巣をアレンジした意匠を取り入れ、シンプルかつスタイリッシュ。フードがまたいいアクセントになっています。
1巻目はピーター殺害の犯人として(刑事である実の父にまで)追われながらも、信念を通すべく戦い続けるグウェン。しかし、暗黒街の顔役キングピンらによる陰謀は着々と進行して…という感じ。
グウェンはメリージェーン達とバンドを組んでいるのですが、スパイダーウーマンの活動のせいで約束をすっぽかすハメになって、信頼を失っていったりとかは、まるっきりピーターと同じ道ですね。スパイダーマンの逃れ得ぬ業なのでしょうか?笑
アース616でも見た顔が、微妙に違った役割で出演しているのが、このテのパラレルワールドものの楽しみの一つでもあります。フランク・キャッスル(パニッシャー)が、スパイダーウーマンを執拗に追う刑事だったり、マット・マードック(デアデビル)がキングピン配下の悪徳弁護士だったりと、分かる人には分かるお楽しみも盛りだくさんです。
2巻目では、ピーターとグウェンの親友、ハリー・オズボーンが登場します。
ピーターの死にとらわれる、若き2人の再会は、いったいどのような結末をもたらすのか!?
全く新たな設定のキャプテン・アメリカとファルコンも登場するなど、見どころもたくさん。てか、このキャップの話をもうちょっと読んでみたいなぁ…
DCコミックでは時々、設定を現代風に改めて、ユニバースをリスタートさせることがあるのですが、それをスパイダーマンでやっているような印象があります。(主人公変わってますが)
スパイダーマンを知らない人でも楽しめる、スーパーパワーを持ってしまった新世代のヒーローの物語といえます。このグウェンの成長が楽しみなので、シリーズが長く続いて、邦訳も続くといいなぁ…