理想と妄想のジャンクション

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【アメコミ】原点にして最大の脅威

 「アベンジャーズ」や「スパイダーマン」「X-MEN」が映画で成功を収め、今度はマーベル・シネマティック・ユニバースにX-MENが参戦するという動きも出て来て、今年も目が離せないマーベル映画ですが…

 「ファンタスティック・フォー」は置き去りなのでしょうか()

  f:id:SHirow:20180331124952j:plain←全く関係ない花騎士のオキザリスさん。

 

 それはそうとして

 Fujisan.co.jpの通販限定アメコミ「マーベル・マイルストーンズ」の第2弾。

 「ファンタスティック・フォー:カミング・オブ・ギャラクタス」です。

 もはやネタバレがどうのというレベルの話じゃないですね。アメコミをかじった事のある人なら、誰もが知ってる古典です。

 この物語がスタン・リーとジャック・カービーによって生み出されたのは、何と1965年。…50年以上前です。

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 昔、光文社から邦訳も出ておりましたが、フルカラーでの邦訳です。

 とはいえ、色は新規着色のようです。コンピューター処理っぽいです。各話の表紙に、カラーラー(着色者)の名前がありません。本来はあったと思いますが…

 で、内容ですが、見ての通りの古いアメコミという感じです。

 収録されている内容は盛りだくさん。ファンタスティック・フォーに襲い掛かる仇敵、フライトフル・フォーとの戦い、リードとスーの結婚式、謎の種族インヒューマンズとの邂逅、そして宇宙魔神ギャラクタスの襲来!

 話も設定も古い!…と、言いたいところですが、実は設定は古くない!?

 特にやっぱりギャラクタス。己の飢餓感のままに宇宙を旅して星を喰らう、善悪の概念を超えた超存在とか、新しすぎます。

 まぁ、そんな宇宙魔神が地球に到達して、まず始めたのが、星のエネルギーを吸い上げるための装置の組み立てというのは、今読むと、ちょっとどうなんだ?という気もしますが(笑)

 絵やストーリーの進め方、どこかのんびりしたアクション、やたら説明的で量も多いセリフなど、確かに時代を感じさせるものはありますが、これが今読んでも面白いというのは、どういう訳なのでしょうか? 思わず貪るように、一気に読んでしまいました。

 ここ最近買ったコミックで、こんなに夢中になって読んだのは、「さすがの猿飛(復刻版)」くらいです!

 …私が今の漫画に適応できてないだけかもしれませんね…

 とはいえ、起承転結がしっかりしていて、謎や悪の陰謀に対して、作戦を練ってそれぞれの超能力とチームワークで戦うという、明快なドラマの面白さに間違いはありません。

 超能力ヒーローであるファンタスティック・フォーに襲い掛かる危機があって、追い込まれても逆転する作戦や秘密兵器があって、苦難を乗り越えて勝利する。そういった、古き良き(と、言っていいのかな?)ヒーローコミックでした。

 50年以上の時を経ても、輝き続けるキャラクター達も凄い。

 最近ドラマ化もされた「インヒューマンズ」や、映画になった「ブラックパンサー」も、この頃のファンタスティック・フォーが初出です。(この本にブラックパンサーは出てきませんが)

 そして、忘れてはいけないのが、シルバーサーファー!

 全身銀色で、サーフボードに乗って宇宙を駆けるこの人物は…いや。最初見た時、これが人気キャラクターだとは思えませんでしたが。人の姿をしているものの、どちらかというと彫刻じみた造形は、超然として、高潔さを持ったコズミックヒーローのデザインとしては至上のものであると、すぐに分かりました。

 数あるマーベルのヒーローの中でも、別格という気がするんですよね、この人。

 そんなシルバーサーファー、ギャラクタス篇で初登場するのですが、実はジャック・カービーのアドリブ(?)から生み出されたそうで…事前に作られていたプロットには存在しなかったそうです。原稿が上がってきたら、いつの間にか出てきており、さしものスタン・リーも驚いたとか。(しかしすぐに、カービーの意図を理解して、シルバーサーファーを物語にうまく組み込んだあたりは、さすがです)

 今のマーベルのメインストリームは、アベンジャーズになっており、ファンタスティック・フォーはなかなか時代に乗れず、苦戦しているようですが…(映画も立て続けにコケてるし)…また、こういった形ででも、時代を築いたヒーローの物語を読みたいものです。