【アメコミ】サノス、君はどこへ行く?
ネタバレ注意!!
…とはいえ、現在公開中の映画「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」のネタバレはありません。そもそも私はまだ見てません(笑)
サノスを初めて知ったのは、カプコンのゲーム「マーベル・スーパー・ヒーローズ」でした。
ゲームのラスボスとして現れた彼は、正直、そこまで巨悪のカリスマを感じるような存在ではありませんでした。青いタイツのゴリラチックな太マッチョのキャラクターは、日本のアニメやコミックなら、四天王のパワー自慢係がいいとこだと思います。
日本的な感覚だと「技>力」というのがあるので、パワーキャラにしか見えないサノスに、それほどのカリスマを感じる事はできませんでした。
しかし、その後に邦訳された「インフィニティ・ガントレット」(ゲームのネタ元でもある話)を読んで、色々と認識を覆されました。
サノスの持つ力は、とにかく圧倒的でした。ゲームではヒーローがタイマン勝負で戦っていますが、とんでもない。素で、地球最強のヒーロー連合を圧倒する力があり、その上、宇宙を思いのままにする力を持つインフィニティ・ガントレットを所持しています。もう最初っから、勝負になっていません。
そして決して、サノスはパワーだけの頭の悪い存在でもありませんでした。
深い知性と、油断のならない策謀を持ち合わせています。
ただ、愛に狂った孤独な人物でもあります。
「死」を司る女神デスに恋い焦がれ、彼女を振り向かせるためだけに、力の全てを使い、そのためにならガントレットの力で宇宙の生命の半分を消滅させる事すら厭わない「狂えるタイタン人」それが、サノスでした。
そして「インフィニティ・ガントレット」の主人公も、完全にサノスでした。
地球最強のヒーロー連合…キャプテンアメリカ、ハルク、アイアンマン、サブマリナー、ウルヴァリン、スパイダーマン、サイクロップス…彼らは物語の添え物に過ぎません。物語中盤であっさり全滅します。ファンタスティック・フォーやデアデビルらに至っては、サノスが最初に行った生命の大消失の時点で消えてしまっています。
アダム・ウォーロックやシルバーサーファーら、強力な力を持ったコズミック・ヒーロー達も、重要な役回りですが、物語はサノスを中心に回っていくのです。つまり…
ラスボスが主人公!なのです。
アメコミが、ただの幼稚なヒーローコミックスではないと認識していた私にとっても、それは衝撃でした。
物語の描き方にタブーはなく、必ずしも正義は勝利しない。最終的に勝利を手にするのは正義の側だったとしても、それが慣れ親しんだヒーローによってもたらされるとは限らない。
感情移入できる、地球のヒーローを失ったまま進んでいく物語は、なかなか衝撃でした。サノスの暴虐を食い止めようと奮闘するアダム・ウォーロックも、馴染めないキャラクターで、策謀を駆使して地球のヒーロー達を捨て駒にする彼は、この作品のヒーローとして感情移入できる存在ではありません。むしろサノス以上のラスボス感すらありました。
ヒーロー達でも手の届かない、宇宙の果てで行われる超常の戦いは、読む者に諸行無常の念すら抱かさせるものでした。
…と、私にとっては衝撃作でしたが「この作品が好きか?」「他人に薦められるか?」と聞かれれば、う~ん…微妙です。やはり、物語は好きなキャラクターが活躍する物の方がいいですね。
そんなサノスのオリジンを描いたのが「サノス・ライジング」ですが、これ「インフィニティ・ガントレット」のサノスにつながってません。
とはいえ、狂えるタイタン人誕生の物語として、非常に面白い作品でした。これを先に読んでいれば「インフィニティ・ガントレット」の印象も違ったかもしれません。少しはサノスに感情移入できたかも。
異形の子として、周囲に疎まれる少年時代のサノスに共感を覚える部分は誰もが持っていると思います。そこから、少しずつ、そして大きく道を踏み外していくのですが…
映画のサノスは多分、こちらがベースなのだと思います。映画見てないんで、断言はできませんが^_^;
一方の「デッドプールvsサノス」は、デップーのせいでノリが軽くなってますが、ちゃんと正史のサノスです。サノスが恋い焦がれるデスは、実はデッドプールと相思相愛なのです。
それに嫉妬したサノスは、デッドプールに不死の呪いをかけています。(死後にデスと結ばれることがないように)デッドプールの不死身っぷりには、実はそんな秘密もあったのですね。
さて、そのサノスがマーベル映画に本格登場したのが、現在公開中の「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」なのですが…
衝撃のラストってのが、気にはなりますが、どうなんでしょうか?
「インフィニティ・ガントレット」を下敷きにしているなら、アベンジャーズ全滅は展開として当然過ぎですよね。元々前後編で作られてた映画ですし「続く!」で終わっても不思議ではありませんし。それこそ、サノスがインフィニティ・ガントレットを完成させて、宇宙の半分の生命を消滅させて「終わり!」でも、あんまり衝撃感はありませんよね。
私が読んだ紹介記事を書いてるライターさんの中には、アメコミ通の人もおられたので、それでも衝撃というなら、そんな簡単な事ではなさそうです。
では、何?
ギャラクタス襲来? X-MEN登場? スタン・リーがカメオ出演?(それはいつもの事か)
あ。この映画に限っては、サノスが倒される方が、むしろ驚きかも。いきなり出てきたデッドプールがサノスを倒すとか(笑)…ファンは大爆笑ですが、映画的には最悪ですね、それ。
気になりながらも、ガッカリしそうな予感もあって、何となく映画館へ向かう気になりません。むしろ早く、ネタバレを見て安心したい私がいます。