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【アメコミ】キャプテン・マーベルって何人いるの?

 今回のネタは、Fujisan.co.jpの通販限定アメコミ、マーベル・マイルストーンズの第3弾「アベンジャーズ:クリー/スクラル・ウォー」です。

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 正直、この話ついては、あんまり知識がありませんでした。

 クリーもスクラルも、マーベルユニバースの銀河列強種族で、高度な文明といくつもの星系から成る広大な版図を持つ巨大国家で、地球に侵攻してきた事も何度もあるのですが、このエピソードの中でその2大強国がついに戦争状態になり、その間に挟まれた地球は翻弄されていくのですが…

 このエピソードは1971年のものだそうです。47年前かぁ…

 銀河を舞台にした宇宙戦争の間に入り、ヒーロー達が縦横無尽の活躍をするというお話ではありますが、自由に姿を変えられるスクラル人による陰謀もあり、物語は一筋縄ではいきません。

 

 この物語で中心的な役割を果たすのが、キャプテン・マーベルというキャラクターです。キャプテン・マーベル(本名マー・ベル)は、元はクリー人の軍人で、地球には潜入工作員として送り込まれたものの、地球の人々との交友を深めるうちに心を入れ替え、地球のために戦うようになったというヒーローです。

 出版社の名前を冠するだけに、もっと有名でもよさそうですが、イマイチメジャーでないヒーローです。

 というか、アメコミにはもっとメジャーなキャプテン・マーベルがいます。

 しかもなぜかDCコミックに…

 DCのキャプテン・マーベルは、元々全く別の出版社から出ていたキャラクターです。ゴールデンエイジと呼ばれる、スーパーヒーローコミックの黎明期、1940年に誕生したのがDC版キャプテン・マーベルです。

 ビリー・バットソン少年が「シャザム!」というキーワードで、魔法のヒーロー、キャプテン・マーベルに変身するというもので、ファンタジー性の高い設定だったようです。また、キャプテン・マーベル・ジュニアや、マリー・マーベルなど次々とファミリーを増やしていったのが特徴で、マーベルファミリーの冒険は、当時大ヒットしたそうです。

 ですが、この大ヒットに水を注したのがDCコミックでした。

 キャプテン・マーベルは、スーパーマンの模倣であると裁判に訴えたのです。

 この係争が長引くうちにヒーローコミックのブームは終了し、キャプテン・マーベルを出版していたフォーセット・コミックはコミックの出版から手を引きます。そして後に、キャプテン・マーベル著作権はDCに売却されるのです。

 こうして、かつて大ヒットしたキャプテン・マーベルはDCのキャラクターとして復活を遂げるのですが、その頃にはマーベルコミックのキャプテン・マーベルが商標登録を済ませていました。

 DC版キャプテン・マーベルは、名前は変わらず「シャザム!」というタイトルで刊行される事になったそうです。

 更にその後、「New52」で再構築されたDCコミックスでは、名前もシャザムに変更さました。

 

 尚、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で、近々公開が予定されている映画「キャプテン・マーベル」の主人公は、更に違うキャプテン・マーベルで、女性です。元軍人でキャプテン・マーベルの協力者だったキャロル・ダンバースがその正体で、元々ミズ・マーベルと名乗っていたのですが、近年、キャプテン・マーベルを襲名しました。

 今、マーベルコミックでミズ・マーベルを名乗っているのは、キャロルとは直接関係のないカマラ・カーンというインヒューマンの末裔の少女です。

 マーベルガールは、こちらには関係ありません。

 若干関係があるのは、マーベルボーイという、ゴキブリの遺伝特性を持つクリー人の青年ヒーローですが、もうここまでくるとなんだかよく分かりません。

 

 話がそれました。

 こちらのコミックに出てくるキャプテン・マーベル(マー・ベル)は、地球人の味方ではありますが、クリーの高級軍人であり、スクラルから狙われる立場です。

 アベンジャーズキャプテン・マーベルに協力的なのですが、地球を狙うクリーの軍人であるキャプテン・マーベルへの憎悪を煽る政治家のせいで、アベンジャーズも市民から敵視されるようになっていきます。

 外敵をダシに、人々の恐怖と憎悪を煽る存在を、アメコミはこんな時代から描いていたのですね…

 最後に、この物語の中で特に印象的だった、アベンジャーズのアンドロイドヒーロー、ビジョンの言葉を引用します。政府にキャプテン・マーベルを引き渡すかどうか、アベンジャーズ内で話し合われていた時のものです。

「彼がクリー人だからと不当な拘束を許せば、次の標的はアンドロイド、ミュータント、そして巨人に及ぶだろう。

 いずれは右利きと左利きの戦争が始まり、この惑星は核戦争で破滅に至る!」

 

 …考えさせられます。