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【アメコミ】なろう系マーベルコミック

 『ゼロから始めるマーベルユニバース生活』とか『マーベルユニバースに転生したんだけど、能力無しで生き延びるのは限界かもしんない』とか、多分そーいう感じの『グウェンプール』さんのお話。

 何故か3、4巻が同時刊行。でも、5巻は来年春の刊行…って、相変わらずアメコミの邦訳刊行ペースは不安定ですね。

 アベンジャーズバットマンジャスティスリーグだけでも定期的に刊行してほしいのですが、なんかデッドプールばかり出してるようなイメージですね、最近は。…それも時系列順に出してないんで、状況把握が難しいという。

 色々周辺の状況が激変しているのに、デップーで間接的にしか読めないというのはなかなかストレスです。

 それはそうと、

  元々はネタ企画で、設定も何も考えられてなかったグウェンプールですが「コミックとしてマーベル世界を読んで知っていたオタク少女」という、超変化球オリジンを手に入れて、ハワード・ザ・ダック誌のゲストとしてコミックデビューしました。

 元ネタのデッドプールの持つ「第四の壁を超える」能力を、極端に強化した感じです。とゆーか、今流行りの「なろう系」です。それを、マーベルユニバースでやったらどうなる?というのが本作です。(たぶん)

 ただ「なろう系」主人公のほとんどが、何らかの特技を持っていて、転生した世界で真面目に生きてるのですが、グウェンプールにはそれがありません。

 元々「グランド・セフト・オート」的なゲーム好きだったグウェンプールは、自分が転生した世界を、コミックの中だと割り切っており、犯罪行為にも躊躇がありません。マーベルユニバースでゲームを遊んでいるような感覚でいるため、脇役に対して遠慮なくマシンガン掃射とかするのです。

 あと、特殊な力は特に持っていません。強いて挙げれば、元々コミックで読んでいたので、ヒーローやヴィランの秘密を知っている事です。あと、主人公なので、たいがいの無茶は何とかなる…という事を知った上で、無茶苦茶する事です。

 しかし、実際は何でも思い通りとはいかず、なぜかモードックの手下にされて、バトロック達とチームを組まされて、三流ヴィランへの道を歩む事に…?

 

 「第四の壁」と言われる、物語世界と現実世界を遮る壁を乗り越えることが、このグウェンプールの物語の肝になります。

 元々、日本のマンガでは登場人物がメタ発言をする事は珍しくないのですが(「勝ったッ!第3部完!」とか)アメコミでは多くないようです。

 例外として、ハワード・ザ・ダックデッドプールがいるのですが、基本はちょっとしたお遊びで、9本筋に関わる設定にはなりません。(「デッドプール・キルズ・マーベルユニバース」のような例外もあります)

 そこを徹底的に追求したのがグウェンプールで、特に4巻で深く掘り下げられます。

 コミックの「お約束」を利用して、マーベルユニバースをコミックとして俯瞰する世界から来たグウェンプールというキャラクターをユニバースに紛れ込ませて、それを読者に俯瞰させるという、もうなんだかよく分からない構造です。メタSFとでもいえばいいのか、本気でよく分かりません。

 意外とマーベルコミックを知らなくても、面白く読めるような気もしますが、どうなんでしょ?

 「コミックの世界に転生」と、スタート地点は「なろう系」ですが、そこからの設定の生かし方が流石です。シリーズ当初はイマイチだと思っていたのですが、ここにきて抜群に面白くなってきました。

 だけど5巻は来年春…

 まぁいいか。

 

 とてもショッキングだったグウェンプールの一言

 「デッドプール読んでないの」

 …マジか。