【アメコミ】スタン・リーという厄介な人
久しぶりにアメコミの話。
ヴェノムについて、スポーンとからめて何か書こうかと思ってた矢先に、御大・スタン・"ザ・マン”・リーの訃報が舞い込んできたので、ちょっと書いておきます。
私自身がアメコミを読み始めたのは、90年代のアニメ版X-MENを契機とするアメコミブームの頃。なので、既にスタン・リーが第一線でバリバリ活躍する時代ではなくなっていました。時代的には、編集長だったのかな?
それでも印象的だったのは、コミックの中表紙に必ず「Stan Lee Presents」と書かれていた事。
有名なマーベルのキャラクターの多くを手掛けていた事は、当然知っていましたが、それ止まりで、直接、スタン・リーが原作を書いたコミックを読むことは多くはありませんでした。
何度も翻訳されているスパイダーマンの第1話や、X-MEN、アイアンマンの第1話など、マーヴルクロス誌で読んだ程度です。個人的に印象的だったのは、バンド・デシネの大家・メビウスと組んで制作された「シルバーサーファー:パラブル」でした。
そんな感じで、なんとなく過去の人というイメージは拭えませんでした。
とはいえ、今は原作を書いていないというだけで、スタン・リーの作り出したキャラクター、ストーリーは、現代においても色あせるものではありませんでした。
スパイダーマンは、ヒーロー物に等身大の人間ドラマを盛り込みました。自分の思い上がりから、愛する家族を失ったピーター・パーカー。常に財布の中身を気にして、恋人との関係がなかなか進展しないことに悩みつつ、ヒーローとして己に課した役目を果たそうとする、リアルさと紙一重のフィクションは、以降のアメコミの形を決定づけました。
人類と新人類・ミュータントとの確執のドラマ、X-MENは、正義と悪を相対化し、現在の世界にもつながる問題をSFドラマの中に描き出しました。
初の黒人ヒーロー・ブラックパンサーは、21世紀の現代に映画になって大ヒットしました。
タブーを恐れず、多角的な視点で物語を描くスタン・リーは、本当に凄い人です。
私が個人的に感銘を受けたエピソードは、X-MENのアイスマンにまつわる話です。
アイスマンはX-MENの初代メンバーの一人で、スタン・リーが生み出したキャラクターです。彼は、近年になってゲイであった事が明かされました(後付け設定)。
その当時、制作現場から離れていたスタン・リーは、そんな事になっていたとは露知らず、とあるインタビューの中で、インタビュアーから聞かされて、初めてその事を知ったそうです。
驚きを露わにしながらも、その事で素晴らしいストーリーが生み出されるだろう事を確信してる…というような事を言いました。
…多分、LGBTへの理解というよりは、面白ければ何でもいいという、節操のなさの表れなような気がしないでもないですが…
旧来の差別や無理解を、コミックという表現手段のために飄々と飛び越えるスタン・リーの懐の深さに、私は凄く感心させられました。
それと、忘れてはいけないのが、マーベル映画へのカメオ出演です。
中でも私が大好きな、スタン・リーのカメオ出演が「ファンタスティック・フォー:超能力ユニット」と「ベイマックス」です。
FFでは、スタン・リーがモデルになったキャラクターの役をスタン・リーが演じていました。
ベイマックスは、アニメ映画なので本人ではないのですが…「やっぱりヒーローだったんじゃん」という感じで、妙に面白かったです。
「アベンジャーズ4」のカメオ出演シーンの撮影は終わっているそうですが、もうマーベル映画で「出たがりスタン」の姿を見れないと思うと、やっぱり残念です。
謹んでご冥福をお祈りするとともに…Excelsior‼‼